株式取引における信用取引では手元の資金以上に売買ができるため、大きな利益を狙うには便利なツールになっています。
ただ、株価が思惑通りの値動きをしないと、追加の資金の投入を請求されるようになります。それが「追証(おいしょう)」です。
追証とは
保証金が不足した状態になると、追証をしなければなりません。通常、信用取引では取引額に対して30%以上の保証金が必要です。この割合を「委託保証率」と言います。そして、委託保証率を割り込まないようにするため、「最低委託保証金維持率(一般的に20%)」という基準があり、保証金がその維持率より下がると、追証が必要になります。
例えば、50万円を保証金として入金してあった場合、その50万円が最低委託保証金維持率を下回ると、追証を請求されます。
維持率を下回るケース
保証金が維持率を割るケースとしては主に以下の2つがあります。
1.保証金として預けた株式の値下り
保証金は何も現金でなければならないわけではありません。株式を保証金とすることもできます。保証金の代わりとして預けた株式のことを代用有価証券と言い、株価に一定率(一般的に80%)を掛けたものが保証金としての評価額になります。代用有価証券の株価が下がると保証金が減少し、維持率を下回ることが起きます。
2.信用取引における損失の発生
信用取引で購入した株式の値下りや、空売りした株式が値上りすると、含み損が発生します。信用取引で含み損が発生すると、その損失額は保証金から差し引かれるため、損失額が多額になると維持率を割るようになります。
例えば、50万円を保証金として預け、150万円の株式を購入したとします。株価が15%値下りしたことで22万円の含み損が発生すると、維持率は18.6%((50万円-22万円)÷150万円)になり、追証が必要になります。
追証の処理
追証が発生したら、以下の処理をします。
1.指定された期日までに入金する。
2.信用取引の株式を売却(買戻し)して決済することで追証を解消する。
なお、指定期日までに追証がなされないと、証券会社によって信用取引の株式が強制的に決済されます。これを「強制ロスカット(強制決済)」と言います。
追証が発生しないように、委託保証率ギリギリになるような信用取引をしないことが肝心です。
追証の発生が株式購入のチャンス
証券会社では、「信用評価損益率(評価損益額÷信用建玉残高)」という数値を公表しています。信用評価損益率は信用取引における含み損が数値化されたものであり、-20%付近になると追証の発生による保有株式の投げ売りが多くなります。つまり、株式を安く買えるチャンスと言えます。